2009年9月28日月曜日

がん、幹細胞狙い再発防ぐ

2009年9月28日の日本経済新聞に以下の記事がでていた。
早く実用化されることを祈ります。

 「がん幹細胞」と呼ぶ細胞の研究で成果が相次いでいる。国立がんセンターと協和発酵キリンは白血病のがん幹細胞の構造を解明し、マウスの実験ではこの細胞を特殊な化合物で死滅させることに成功した。東京医科歯科大学も胃がんのがん幹細胞を見つけた。がん幹細胞はがんを引き起こす元凶と考えられ、研究成果はいずれもがんの根治薬の開発につながりそうだ。
 国立がんセンター研究所の北林部長らが発見し構造を解明したのは急性骨髄性白血病のがん幹細胞。急性骨髄性白血病は治療しても再発する場合がある。
 研究チームはこのがん幹細胞を白血病のマウスから取り除き、がん細胞も死滅させることに成功した。がん幹細胞を標的とした治療で一定の効果が確認できたのは初めてという。
 このがん幹細胞は表面に「M-CSFR」というたんぱく質がある。正常なマウスでも、このたんぱく質ができた細胞が体内で増えたマウスはすべて白血病になった。
 研究チームは協和発酵キリンが開発したM-CSFRの働きを防げる化合物を白血病のマウスに注射した。がん幹細胞が死滅した結果、がん細胞もなくなった。治療に使われている抗がん剤を与えたマウスに比べ生存期間は3倍に延びた。
 国立がんセンターの北林部長は「がん幹細胞をたたくことで再発を防ぎ根治につながる」とみている。今後、化合物を改良して治療薬の実現を目指す。
 東京医科歯科大学の深町講師らは、胃がんにもがん幹細胞がることを確認した。患者から採取した腫瘍の一部を免疫機能のほとんどないマウスに移植。マウスにできた腫瘍を取り出し分析した。構造の解明を急ぐ。
 横浜市立大学の谷口教授らは大腸がんのがん幹細胞と考えられる細胞の特徴の研究で成果を上げた。すでに分かっている細胞の目印(たんぱく質)のほかに、正常な腸の上皮細胞の表面にあるたんぱく質も多いことを突き止めた。研究チームは「正常な幹細胞からがん幹細胞が生まれる」とみており、新しい治療法につなげるため、がん幹細胞の働きを抑える方法の検討を始めた。
 成果はいずれも10月1日から横浜市で始まる日本癌学会学術総会で発表する。

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